未 来 の  宅 コ ン ペ
( 論 文 形 式 コ ン ペ  2000年)


大 光 建 設

一級建築士事務所 大光建設ホーム


『 再 ・ 食 ・ 少 の 住 ま い 』


( 日 本 木 工 機 械 共 同 組 合 理 事 長 賞 )

 



 未来、未来の住宅、私は未来のことを考えると、とても恐ろしく思います。
このままの速度で、このままの形で未来に向かって行ってよいのでしょうか?
 今私達を取り巻く社会、生活環境は複雑多様化しております。
又地球環境は急速に悪化しつつあります。
地球温暖化、環境ホルモンなどいうまでもありません。

しかし良く考えるとその原因は私達人間が作り出したものです。
輝く未来のために、又次世代の良い環境作りに
私達は何をすればよいのでしょうか、
とても深く考えさせられます。

 

 

 未来の住宅というテ−マで私は三つの考えが浮かび、
それが再・食・少という言葉です、
題して『再・食・少の住まい』、
これは未来を考える上で私は重要かつ大切なことだと思います。

 まずは再・食・少と言う意味を簡単に説明しますと、
再とは再利用できる住まい、食は住む人間ができる限り食物を育て、
それを頂ける生活環境を作る、少とはエネルギ−を自然から取り入れ、
少ない消費で生活し、自然の大切さ、地球環境のありがたさを
味わうということです。
この三つはこれから未来に向かっていくためには
切っても切り放せないものになってゆくことと思います。

 

 

 再利用できる住まいと言っても簡単なことではありません、
リサイクルに対して理解を持った住人、施工業者、設計者、
それぞれの人間がそういう思いを持って、
初めて再利用できる住まいが生まれるのだと思います。
まず建物の元となる骨組ですがリサイクルとしては、
木造軸組で昔ながらの伝統構法で建てられた木造住宅だと思います。
なぜ伝統構法かと言えば、
リサイクル率を高めるには部材の再利用が鍵となると考えています。
接合部に接着剤や金物は一切使わなく、
仕口・継手だけで木を組んだ伝統構法の登場というわけです。

 

 

 現在私達の町に建てられている住宅で新建材を使わない家は
無いと言っても過言ではありません。必ずどこかに使われています。
そのためその住宅に住む人達の中から
シックハウス症状やいろいろ化学物質などの影響で
脅威にさらされている人々が現れてきています。
このような背景があるため、
現在健康で自然な建材への需要が高まってきているのです。
環境意識の高まりは、同時にリサイクル建材の魅力の
高まりにつながっていると思います。
 十分に乾燥した再利用できる古材は、新材より丈夫で風合いもある。
又自然素材だけを使い新建材や接着剤などを使わない
伝統的な継手や仕口で建てることにより、
アレルギ−や化学物質過敏症など極力抑えることができると思います。
又自然保護や環境を守り、健康にも良い住まいを作るためには、
自然の物を使った再利用できる住宅は有効な考えではないでしょうか。

 

 

 再利用ということで私達の生活の中で考えてみましょう。
私達が生きてゆく上で水というものは大切なものです。
それぞれの家庭で湯船につかり、翌朝その湯を洗濯機に入れ洗濯をする、
これも再利用の一つです。
しかし、もう少し奥に入り水の再利用について考えてみますと、
洗面台で歯を磨き顔を洗う水、台所で食器を洗う水、
この後省エネということで言いますが、
空から降る雨水(これは再利用と言うより省エネと言う枠で説明します。)
などいろいろ無駄にしている水があると思います。
浴槽に使った湯を洗濯機に使うと言うことは、皆さん行っていると思いますが、
その洗濯機に使った水、台所で使った水、
洗面台の水を最後にトイレに流す水に使えるように考えると
大切な水を有効に使えるのではないでしょうか。
建物内で浴槽から洗濯機へ洗濯機・台所の排水・洗面所の排水から
トイレのタンクへと配管をして、
出来る限り再利用できることを考えてはどうかと思います。
地球の少ない資源の大切さ、
貴重さを常に思い再利用出来るものは再利用すると言う考えを持ち、
住まいを考えてゆかなければならないと思います。

 

 

コ−ヒ−ブレイク

 

 

 第二に、『再・食・少』の食と言う考え方なのですが、
その前に断熱ということについて考えます。 
一番日の当たる屋根について考えますと、
夏などには、瓦やトタンで出来た屋根の温度は
百度を越えることも珍しくなく非常に熱せられ、その下にある屋根裏など、
換気はするものの温度が上昇し屋根裏が蒸されているのは
言うまでもありません。
その下にある部屋などもそれに伴って断熱をしていても上昇しているのです。
 昔と比べて緑が少なくなり、町の道はアスファルト、
建物はコンクリ−トでまるで都会砂漠いるような気がします。
緑が少なすぎるのです。コンクリ−トやアスファルトは
緑地よりも速く熱せられ都市では電子レンジの中にいるように思われます。

 

 

庭の少ない住宅地でいかに緑を増やしていくかと言うと
屋根を緑化していけば都市環境は変わっていくのではないでしょうか。
又住宅にとっても屋根を緑化することにより
普通の断熱とは比べ物にならないくらい夏は家の中が涼しく、冬は温かい、
雨などにも保水効果がありすぐには排水されず排水施設に負担をかけない。
晴れた日には徐々に空気中に水分を放出し、湿気は都市気候を改善する。
紫外線などによって老朽化しやすい屋根を保護し、
植物は昆虫の棲息地や鳥の生活空間として
生物的なバランス機能を満足させるばかりでなく
住む人の保護となるなどメリットはたくさんあるのです。

 

 

 食と言う考えは、屋根緑化に始まり屋根の勾配をゆるやかにして
屋根緑化畑と称し屋根を畑にしてしまおうと言う考えです。
いわゆる家庭菜園です。野菜を植えろと言っているのではありません。
花が好きな人は花畑にしてもよいし、芝を植えて休日にその上で一日中、
寝そべっているのもいいでしょう。
その人それぞれの生活に合わせて緑化していけば良いのですから。

 

 

 私がなぜ野菜畑かと言うと、今現在の生活環境を考えてください。
私達の生活に余裕がある人々はそう多くはありません。
昔は十年ひと昔と言っていましたが、現在の社会は三年、
いや一年ひと昔という感覚なのではないでしょうか。
時の流れが速くなってしまい
私達にはゆったりとくつろぐ時間がなくなっているのではと思います。
休日の日、又朝早く起きて、
「畑でも行って来るか!」と言い土いじりをする
余裕を持っても良いじゃありませんか。
自分で野菜を育てそれを収穫し、家族で頂く、
肥料は食べ残しや調理から出る残飯を土と混ぜ有機農法を行い、
都市でも田舎暮らしの感覚、
土と一緒に生活すると言うエコロジ−的な考えです。

 

 

 屋根緑化に伴い外壁も同じように緑化していくのも
都市環境にとって良いことだと思います。
外壁にツタ類の植物を這わせ緑豊かにする、
植物は都市の気候の変動を和らげ空気中の湿度を高めほこりなどを取り除き
酸素を供給する。植物の外壁は熱の暖衝壁としても働き、
夏は緑化された住まいが気持ちの良い涼しさをもたらし、
冬は暖房費用を節約してくれる。
町全体がこのような建物で作られるならば
都市が都市でなくなり森林化した農村のようになり空気も浄化され、
人々にもゆとりというものが生まれてくるのではないでしょうか。

 

 

コ−ヒ−ブレイク

 

 

 第三に『再・食・少』の少ですがはじめにも述べたように少エネルギ−の
少といって良いでしょう。
私達の居るこの地球には、有り余っている資源など一つもないのです。
いつか資源がなくなってしまうという考えで
これから建物を考えてゆかなければならないと思います。
電力・ガス・水、それぞれ大切に使っていかなければならないと思います。
私達は消費する物に対してけちにならなければいけないのでは?と思います。
しかし生活する上では、電気・ガス・水道は必要です。
ではどうすれば良いでしょう。
私は自然からの恵みを大切にしてゆくことが重要だと思います。

 

 

 現在少しづつではあるが太陽光発電住宅など建てられていますが、
私の考えているのは太陽・雨量・風力、
全てを使い自然からの恵みをエネルギ−や蓄えとして
使ってしまおうじゃないかという思いです。
 太陽の恵みとは太陽光発電を利用した建物です。
今現在も少しづつ建てられているものの、
まだ街中に目立つほど建てられていないのが現状だと思います。
これから先の未来住宅にはなくてはならない物となるでしょう。

 

 

 第二に雨量です。雨水を今の建物は、屋根から雨樋へと流し、
パイプを通り側溝へと流れる。とてももったいなく思います。
建物の地下へ貯水槽を設け、そこに雨水を導き、
トイレや庭の雨水に使ったらどうかと思います。
もう一つ、雨量とは別ですが地下水の利用です。
井戸を掘りその水を浴槽の水に使ったりしてはどうでしょう。
これだけでも大きな少エネルギ−となります。

 

 

 風力ということも未来にとって大事なこととなると思います。
風力で電気を作りそれを生活している中で使おうじゃないかということです。
地球の大切な資源を大事に使って行き、
又再利用できるもには利用していく考えを持った上で、
これからの未来の住宅が生まれてくるのではないでしょうか。

 

 

 今この殺伐とした世の中で輝く未来の住宅を考える上で、
人間はもっとゆとりを持たなければならないと思うのです。
私は自然との共生だと思います。
私達は住宅に住んでいるのではなく、地球に住んでいる、
いや、地球に住まわせてもらっていると心に命じ、
生きてゆかなければ、輝く未来には向かって行かないのではないのでしょうか。

 

 

・・・ T E H E N D ・・・・

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